バルセロナの次の訪問地は、マドリードへの中継地として選んだサラゴサ。 アラゴン州の州都で、世界遺産にも登録されたムデハル建築が残る街。 今回は到着初日に、11世紀のイスラム宮殿を起源とし、後にアラゴン王やカトリック両王によって改修された美しいアルハフェリア宮殿を見学。 イスラム、ムデハル、ゴシック、ルネサンスなど、異なる時代の建築が一つの宮殿に同居する、その様子をまとめてみました。
(2019.08.23現在)
バルセロナからサラゴサへ
アクセスマップ
サラゴサはバルセロナの西約320kmに位置し、バスでの所要時間は4時間弱。 最終目的地のマドリードまで一気に移動するには距離があるので、観光も楽しめる中継地として訪れることにしました。
11:30 売店でお昼のパンを買い込み、到着時と同じ北バスターミナルからALSAバスにて出発。 料金は2人で32.28€(1人約1,950円)にて。 ALSAはスペインの大手バス会社で、運行数が多く、FlixBusのチープな座席よりもしっかりしているので利用しやすかったです。
購入した地下鉄チケット T-10チケット2枚はそれぞれ1回分余り。 バスターミナルに到着した旅行者にプレゼントして、バルセロナOUT。
サラゴサバスターミナル
15:10 サラゴサのバスターミナルに到着。 バスターミナルは旧市街地の西3kmに位置し、歩くには少し距離があり、旧市街エリアに宿を取る場合は市バスを利用する必要があります。
バスターミナルの様子 広々としたターミナル内は乗り場が分かりやすく機能的。 サラゴサ駅の駅舎内に整備されているので駅には直結するのですが、路線が旧市街地に伸びていないのが残念…
サラゴサ駅(Zaragoza-Delicias) 2003年5月に開業した比較的新しいモダンな駅舎。 駅舎内に売店・飲食店と一通りの機能は揃いますが、駅舎の周りは商店街としては栄えていません。
旧市街地まで距離があるのでバスかタクシーでアクセスするのが一般的ですが、バスルートがややこしいのが難点。 ルートマップはこちら(Moovitサイト)
サラゴサの宿
Pension Irene
サラゴサでの宿泊先はバスターミナルとアルハフェリア宮殿の中間に位置するPension Ireneという宿に宿泊、Booking.com経由の予約にて1泊4,150円×2泊。
アルハフェリア宮殿は旧市街地とバスターミナルの中間に位置し、頑張れば旧市街地にも歩いて行けるという立地。(暑かったので旧市街地へはバス利用にて)
宿はビルのワンフロアを利用。 通りに看板等はなく見過ごしやすいですが、立地的にはマズマズ。 バス・トイレは数部屋で1か所を共用という形でしたが、特に問題はなし。 キッチンこそありませんが、冷蔵庫・エアコン付きで値段相応かな?
すぐ近くにスーパーがあるので買い物は便利♪
アルハフェリア宮殿
料金と営業時間
チェックイン後は旧市街地の手前にあるアルハフェリア宮殿見学へ。
アルハフェリア宮殿はイスラム勢力に支配されていた後ウマイヤ朝が滅亡した後、タイファと呼ばれる小王国分立時代を迎えた11世紀後半にイスラム勢力による宮殿として建てられたのが始まり。
その後レコンキスタ(再征服運動)によりイスラム勢力が一掃されたのち、アラゴン王の宮殿、さらにカトリック両王の時代に改修され、異なる文化・時代の特徴を合わせ持つ美しく歴史ある宮殿となりました。
宮殿はアラゴン州議会として利用されている他、一部を博物館として公開している。 入場料は1人5€(学生などは1€)とバルセロナと比べるとオトクに見学が可能。
但し、シエスタの風習のせいか見学時間にお昼休みを挟むので出かける際には休み時間に注意。(時間は当時の公式サイトより)
- 夏季(04/01~10/31)営業時間 10:00~14:00、16:30~20:00
- 冬季(11/01~03/31)営業時間 10:00~14:00、16:00~18:30(日曜休み)
- 毎月第1日曜日と第1月曜日の午後の部は見学無料!!
事前のチケット予約 も可能です。
見学の様子
16:00 チケットを購入して見学開始。 夕方と言ってもまだまだ暑~い。(陽射しがギラギラ) シエスタ文化の理由が分かる気がします。
周りは濠となっており、城壁もかなりの高さで防御力は高め。 城壁や塔は大部分が修復されたものですが、とても綺麗に修復されています。
正門 巨大な城壁に対し、門がとても小さい。 修復とオリジナルの違いが分かります。
正門を入ると中庭のようなスペースとなっており、右手にレコンキスタ後のアラゴン王朝時代に増築されたサン・マルティン礼拝堂があります。
ゴールデンホール(金の間)
本丸エリアに突入 建物内最初のエリアがこちら。 幾何学的な装飾が施された圧巻のアーチや柱が並ぶゴールデンホールと呼ばれる広間。
ヨーロッパらしからぬ装飾がエキゾチック♪ この宮殿の細工・装飾を模してグラナダのアルハンブラ宮殿が設計されたそうなので、こちらが先行するイスラム宮殿建築の一例ということですね。
金装飾が使われているわけではないのに、ゴールデンホールとはこの淡い光加減から来ているのでしょうか?
イスラム宮殿時代の礼拝堂入口はレースのような細かい装飾がビッシリ。 ここもオリジナルと修復箇所がよく分かり、当時の装飾技術の高さをうかがい知ることができます。
八角形の形をしたイスラム礼拝堂。 天井には8つの頂点があるイスラム教の伝統的シンボル、ルブ・エル・ヒズブが描かれています。 上部の細工柱や透かし彫りも見事。
奥の窪みがメッカのカーバの方角に開いた門ミフラーブ(mihrab) ミフラーブはメッカの方向(キブラ)を示す重要な設備で、イスラム礼拝空間では非常に重要な存在です。
洒落たランプに照らされる細工模様がキレイ♪
Mensulas(メンスラ)。 職人技の張り出し棚受けの細工。
サンタ・イザベルの中庭
サンタ・イザベルの中庭。 中央に小さな水路が設けられたおしゃれな中庭。
植えられた木はオレンジの木。 庭が作られた時に植えられていたそうですが、その子孫でしょうか?
2Fから眺めた中庭はこんな感じ。 こんなおしゃれな中庭が家に欲しい…
これぞムデハル様式と言わんばかりの見事な細工が施されたアーチ柱。 何模様というのでしょう? 雲をイメージしたようにも見えます。
とにかく美しい回廊でした。
建物の一角にはちょっとした展示物コーナーがあり、当時の色を再現した壁や細かな細工板などを見ることができます。
中世エリア
続いてはキリスト教徒による再征服後、アラゴン王によって増改築されたエリアへ。 時代的には14世紀ごろになります。
井戸は当時のまま残されていました。 水は何より大事です。
イスラム勢力時の天井とその後に改築された天井の違いは歴然。
中世に改築された天井にはカトリック両王、イサベル1世とフェルナンド2世のモットーTANTO MONTAという言葉を見つけることができます。
こちらの天井にもTANTO MONTAの文字。
カスティーリャ女王イサベル1世とアラゴン王フェルナンド2世の結婚によって両王国の王位が結び付き、後のスペイン統合につながっていきました。 その際のキャッチフレーズが「tanto monta monta tanto, Isabel como Fernando(イサベルもフェルナンドも同じ、どちらも等しい価値と力がある)」
それを略したマニフェストのようなシンボル。
玉座の間
ゴールデンホールの真上に造られた玉座の間。 玉座の間というにはちょっと狭い気がしましたが、天井装飾が一番ゴージャスな部屋がここでした。
ゴールデンな格天井は思わずお口あんぐりで見てしまいます。
アラゴンの紋章になんとも可愛らしい入口。
内部の様子はこんな感じ。 どの部屋も基本ガランとして、家具等はナシ。 天井が見どころといった感じでした。
別の部屋の天井。 中央のマークはイザベル側のカスティージャ王国の紋章とフェルナンド側のアラゴン王国の紋章がミックスされたものだとか。 ここにも両王の対等性を意識した意匠が見て取れます。(TANTO MONTA)も書いてあるけどね。
別の部屋の天井は2人のシンボルとなるくびき(フェルナンド)と矢(イザベル)が等しく描かれ、ここでも違いは平等という意味を汲むことができます。
でもTANTO MONTAと発信していたのはフェルナンドだけで、イザベルは使わなかったそうです。 でも全くパワーバランスの等しい夫婦はいないよね?
部屋を抜けた先の回廊部。 扉の上には立派なライオンとカスティージャ王国とアラゴン王国がミックスされた紋章があります。
アラゴン王国の初代国王ラミロ1世からフェルナンド2世までの家系図。 アラゴン王フェルナンド2世とカスティーリャ女王イサベル1世が結婚することによりスペイン統合への道が開かれましたとさ パチパチ
その後、フェリペ2世が1561年に宮廷をマドリードへ移したことで、マドリードがスペインの政治的中心として定着していきます。
最後は大階段室。 ムデハル様式の装飾とルネサンス建築が融合した空間。 天井の図柄もイザベルの象徴のくびきとフェルナンドの象徴の矢が交互に描かれています。
夕食処Antojitos
夕食は宿に帰る途中にあったチキン料理屋 Antojitosというお店で チキンプレート、スープ、アボカドサラダ、ドリンクで17.79€。
アボカドがもう一つの売りなのか、アボカド押し、チキンは万国共通の外さない味ですが、ジューシーでとても美味しかったです。 あとバルセロナよりは確実に安い!!
次はもっと上手に旅します
超まとめ
- サラゴサバスターミナルは駅に併設だが旧市街まで距離がありアクセスが面倒
- バスルートが複雑なので宿泊先までの行き方はルート図(Moovitサイト) で確認の上
- 夏のサラゴサは陽射しギラギラでかなり暑い!!
- アルハフェリア宮殿見学はシエスタ(昼休み)時間があるので営業時間に注意
- 宮殿見学料は5€ バルセロナに比べ割安感がある上にかなり見応えがあり(世界遺産!!)
- 毎月第1日曜日と第1月曜日の午後の部は見学無料!!
- これは是非にグラナダのアルハンブラ宮殿にも行ってみたい
関連リンク集
- Espania スペイン政府観光局公式日本語サイト
- Saragoza Turismo サラゴサ観光局公式サイト
- アルハフェリア宮殿 サラゴサ州議会サイト内のアルハフェリア宮殿のページ
- サラゴサバスルート図(Moovitサイト) 旧市街地エリアに入るバスがないので注意
- アルハフェリア宮殿予約 アルハフェリア宮殿のオンライ予約サイト
- Antojitos チキン料理レストラン Antojitos公式サイト
- ALSAバス スペイン国内大手の長距離バス会社ALSAバス公式サイト
- omio.jp ヨーロッパ各地の鉄道・バス・航空券の最安値検索サイト
ここが変わったよ 2026年考察
1. バルセロナのバスターミナル改装OPEN
2019年当時利用したバルセロナ北バスターミナルは、2026年6月に約1,400万ユーロを投じた大規模リニューアルが完成しました。
主な変更点は
- 待合ホールが約1,500㎡に拡張
- チケット売場・案内・待合室を1フロアに集約
- 出入口を1か所に整理し、動線を分かりやすく改善
- デジタル案内板を増設
- バリアフリー設備の拡充(エレベーター・スロープ等)
- カフェや売店のリニューアル
- 歴史的なモザイク画などは保存・復元され、新しいコンコースに展示
改修の背景には、バス利用者が2019年比で約50%増加したことがあります。 鉄道の混乱もあり、中長距離バスの需要が急増したため、バスターミナル自体を「小さな空港」のような使いやすい施設に生まれ変わらせました。
2. サラゴサ・デリシアス駅から旧市街へのアクセス
サラゴサの玄関口となるデリシアス駅(鉄道・バスターミナル)は、市街地中心部から約3km西に位置していて少し距離があります。
駅からは駅前バス乗り場 34番、51番の市バスで旧市街地へアクセス可能。
2026年現在の市バス運賃は1回券 1.70€ となっており、運転手から購入できます。
何度も乗る予定ならキオスクなどで販売されている「Tarjeta Bus(バスカード)」を購入すると1乗車あたり0.55€でかなりお得に乗車可能です。
Tarjeta Busカードは7€(内訳:カード代2€、乗車チャージ分5€ ミニマムクレジットで9回乗車可能) カードはトラム乗車共通です。
- カードは複数人で使いまわし可能
- 60分以内なら乗り換えても「1回分」でOK
最初のタッチから60分以内であれば、別の路線のバスやトラムへ乗り換えても追加料金はなし
※同じ路線での往復や、複数人で乗車している場合の乗り換え時にはカウント方法に制限が出る場合があります
3. アルハフェリア宮殿の見学について 2026
2019年当時は昼に一度閉めて夕方に再開する二部制でしたが、現在は10時から18時(日曜は14時)まで通しで営業しており、お昼休み(シエスタ)の閉館はなくなりました。
アルハフェリア宮殿の2026年現在の見学料金は7.00€(ガイド付きは9.00€)
営業時間は月曜~土曜日 10:00〜18:00 日曜日 10:00~14:00(最終入場は閉館の45分前まで)となっております。
アルハフェリア宮殿は現在アラゴン州の議事堂としても現役で使用されており、議会開催時のみ一般見学が中止・変更されることがあります。
入場者数が制限されているため、事前にアルハフェリア宮殿 公式チケットサイト で日時を指定した予約券をオンライン購入しておくことをお勧めします。


















































